医療安全委員会委員長 大内憲明
医療安全委員会は平成21年度より活動を開始し、倫理委員会と協力しながら、乳癌の診療に関わる医療安全の問題を検討し、学会としての社会的責任を果たすことに努めております。最近、ラジオ波熱凝固療法(Radiofrequency Ablation, RFA)などの乳癌低侵襲治療が「切らずに治す乳癌治療」として雑誌やマスコミなどで取り上げられ、社会の注目を集めております。低侵襲治療法を受ける患者さんが増加するにつれて、本学会会員に対して患者様から質問を受ける機会が多くなり、中には残念ながら、トラブル情報を耳にすることが少なくない状況になっています。
このような状況を鑑み、医療安全委員会ではわが国で実施されている乳癌低侵襲治療の現状についてアンケート調査を行いました。認定施設831施設を対象として、調査表を2010年1月25日に発送、2月26日に締切ったところ、547施設からの回答を得ました(回答率66%)。その結果、RFAは29施設で実施されており、症例数は合計1,049例であることが判りました(表1)。
この結果を第95回理事会(2010年5月14日)に報告、審議し、更に平成22年度定時総会(評議員会、6月23日)に報告した結果、本学会として以下の結論に至りましたことをご報告します。表1.乳癌低侵襲治療実施施設の内訳標準的治療以外の治療は臨床試験として実施されるべきである。乳癌低侵襲治療は早期乳癌の標準治療とはいえないことから、その実施にあたっては「臨床研究に関する倫理指針」(厚生労働省告示第415号,2008年)を遵守すべきである。
参考:日本乳癌学会診療ガイドライン外科療法2008年度版
- ・ CQ20.Non Surgical Ablationは早期乳癌の標準的治療として勧められるか。
- ・ 推奨C:乳房温存手術と同等の局所治療効果を有するとの根拠はなく、実地臨床で行う治療とはいえない。
注 *同一施設
治療法 継続中 中止 回答なし 合計 症例数 1.ラジオ波凝固療法 臨床試験 12 7 1 20 477 臨床試験以外 6 2 1 9 572 合計 18 9 2 29 1,049 2.MRガイド下集束超音波治療 臨床試験 1 0 0 1 30 3.冷凍凝固療法 臨床試験 1 0 0 1* 74 臨床試験以外 1 0 0 1* 51 合計 1 0 0 1 125