2025年 班研究班員 公募のお知らせ
1. 研究課題
「国内乳癌治療施設における診療の質の向上と診療情報の最適化に関する研究」
2. 研究の目的
日本乳癌診療ガイドラインの推奨事項の遵守率には、治療施設間で大きなばらつきがあることが、NCD乳癌登録データを用いた臨床研究で報告されている。標準治療が行われていない症例では、治療後の予後や生活の質(QOL)に悪影響を及ぼす可能性が高い。この現状を改善するために、診療の質指標(Quality Indicator, QI)を用いたPDCAサイクル等によって質改善の取り組みを行うことが国内外の学会や地域、医療施設に求められている。
また、多様化・複雑化する乳がん医療において、Patient Public Involvement (PPI)の重要性が大きく唱えられており、わが国でも注目を集めるようになってきた。その PPI においてまず基本となるのは、患者・社会がわかりやすく適切な情報を得ることである。QI を含めて診療情報が様々あるが、それを「見える化」することが必要となる。そこで乳癌患者・家族・社会に対して、今ある情報を「どのように」見せるかについても取り組む必要がある。
本研究の主たる目的は、国内の乳癌治療施設における診療の質のばらつきを是正し、乳癌医療の標準化を推進することである。また、医療者のみならず、患者や社会に対してもわかりやすく診療の質に関する診療情報を提供するプラットフォームを構築し、医療の透明性と信頼性の向上を目指すことも重要な目標である。
研究への参加対象は、乳癌診療に携わる医師、医療スタッフ、研究者、関連分野の専門家や患者を想定しており、下記の成果を目指して取り組んでいく予定である。
• 国内の乳癌治療施設のQI分布を定期的にモニタリングして、各施設へ適切なフィードバックを提供するための持続可能な仕組みを構築する
• QI向上を目的とした取り組みが、各施設のQIに与える長期的な影響を検証する
• 国内の診療ガイドライン遵守率の向上を通じて、国内の乳癌治療全体の質を改善する
• 医療者および一般国民に対して、地域や施設における診療の質に関する情報を分かりやすく伝える手法を確立する
3. 研究期間
2025年度より2年間
4. 班構成
10名以内
5. 選考方法
学術委員会が選考し、理事会にて決定する
6. 研究費
班に対し1年間200万円(計400万円)
7. 研究発表
1.中間報告 第34回日本乳癌学会学術総会(2026年)
2.最終報告 第35回日本乳癌学会学術総会(2027年)
3.「Breast Cancer」誌に班研究終了後1年以内に投稿すること(必須)
8. 応募方法
【班研究課題 分担課題研究計画書】1枚にて個人1名の応募とする
E-mail:oubo@jbcs.gr.jp
9. 応募締切
2025年2月16日(日)23:59必着
一般社団法人 日本乳癌学会
学術委員会
委員長 平 成人