一般社団法人 日本乳癌学会

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先輩からのメッセージ 佐々木律子 先生

最終更新日:2024年5月9日

将来いろいろな可能性が広がり、楽しみです!

ご協力いただいた先生
佐々木律子 先生
【出身大学】琉球大学【卒業年】2011年

今までどのような病院で働いてきましたか?

現在、卒後13年目で、都内大学病院に勤務している乳腺外科医です。

【今までのキャリア】
大学入学時より外科志望で、初期研修では外科医として最低限の内科診療の基本は身につけておきたいと考えていました。そのため、総合内科教育が充実した国保旭中央病院での研修を選択しました。後期研修は、消化器外科を志していたため、まだ開腹手術も多い時代に腹腔鏡手術を積極的に行い、3次救急指定病院である都立多摩総合医療センターで外科シニアレジデントとして修練しました。研修修了目前の妊娠を契機に、乳腺外科を専門とすることに決め、順天堂大学乳腺腫瘍学講座に入職しました。入職後は、3年間の大学の本院勤務後、大学院を経て関連病院で1年間勤務し、現在は再び本院で勤務しています。
卒後6年 (旧制度の最短)で外科専門医を取得し、乳腺専門医は卒後10年で取得しました。卒後10年となった理由は、当時、乳腺専門医試験の受験資格に、乳癌学会に入会して5年以上経過という要件があったことです。私は卒後6年のキャリアチェンジを機に乳癌学会に入会したため、若干遅れての取得となりました。同年に遺伝性腫瘍専門医を取得し、現在は臨床遺伝専門医の修練中です。
医師になった頃は、大学の医局には敷居が高いイメージがあり、市中病院で外科医として働きたいと漠然と考えていました。結果的に医局という組織の中で、ライフステージに応じて柔軟な働き方が許容され、高い専門性をもつ指導者が集まるアカデミアならではでのスキルアップも対応できる多様な環境で良かったと感じています。

乳腺科を志望した理由、決め手はなんでしたか?

ライフワークバランス。後期研修中は、消化器外科志望で腹腔鏡手術の修練に情熱を注ぎ、忙しいながらも楽しく充実していました。一方で、長時間勤務かつ土日の出勤、緊急手術も頻回にある中で、術後経過次第でいつ呼ばれるか分からないストレスもあり、オンオフの切り替えが上手くなかった私にはこの生活を継続するのは難しいかもしれないと感じていました。妊娠を契機に、キャリアプランを修正し、現在の道を選択することにしました。
正直、後ろ向きの入り方かもしれませんが、結果的には、子育てしながら手術もでき、検診や画像診断、薬物療法、遺伝医療など多岐にわたる分野で、日々学びに溢れた環境が刺激的で充実した仕事が出来ていると感じています。

現在取り組んでいることや研修や研究について

卒後8年で大学院へ進学し、臨床を離れ3年間、乳癌患者由来iPS細胞疾患モデル (心筋細胞)を用いた分子標的薬誘導性心毒性の研究をテーマに、集中して取り組ませていただきました。新たに立ち上げた研究で、細胞モデルの樹立から始めたこともあり、まだ道半ばです。学位取得後も、このテーマで研究を継続するため科研費を取得したため、臨床と育児の合間に研究を継続していく予定です。また、前述しましたが、遺伝医療は乳癌診療に密接に結びついており、正しい知識提供とマネジメントが患者さんの利益につながると考え、認定研修施設である当院で臨床遺伝専門医の研修をしています。

やりがいについて教えてください

外科医としては、他の外科領域よりも術式は限定的な印象ですが、部分切除もオンコプラステックサージャリーに基づく多彩なテクニックがあり、奥が深いです。一方で、内科的側面も、毎年のように新たな薬剤が追加され、マネジメントが複雑化しています。免疫チェックポイント阻害薬が周術期薬物治療にも追加され、内科管理がより重要になってきました。副作用を管理して、安全にかつ少しでも辛くないような治療を受けられるようにすることが乳腺科医としての使命ではないかと思っています。
また、進行再発患者さんとは対話が大切で、命と向き合う責任感の中で、患者さんから学ぶことも多くあります。医師という職業を選んだときの『人助けをしたい』という原点があり、日々の診療で、おこがましくも、そのやりがいを感じられる診療科であることは間違いないと思っています。

所属学会での活動について教えてください

2023年度より乳癌学会総務委員会内のワーキンググループMIRAY1に参加しています。まだ名を連ねているだけで実働できておりませんが、今後教育グループメンバーとして活動へ貢献していく予定です。また、JOHBOCのHBOC診療ガイドラインのシステマティックレビュー委員として2021年度版から参加しています。

ホームページを見ている後輩たちへのメッセージ

乳腺科医の魅力は多岐にわたりますが、まず強調したいことは、本邦の乳癌患者さんが増えているにも関わらず、乳腺専門医がまだまだ少ない点です。個々の患者さんにとって最適な治療を考え、寄り添える乳腺科医が仲間入りしてくださることを期待しています。
また、医師自身のライフステージに応じて乳腺診療に関われる点も魅力です。育児や研究に重点をおきたい期間は、検診やクリニックでの診断なども選択肢として挙げられます。私自身、これから30 年近く医師として過ごす時間を、乳癌患者さんのために臨床や研究を通じて、様々な関わり方が出来る点で、将来いろいろな可能性が広がり、楽しみです。

 

 

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