乳腺治療を意識した画像検査を目指す、オールラウンド診療放射線技師
後藤由香 先生(診療放射線技師)
聖マリアンナ医科大学附属研究所 ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニック
【職種】診療放射線技師
自己紹介
2001年に聖マリアンナ医科大学病院 画像センターに入職し、10年間で診療放射線技師としての全モダリティ(一般撮影、透視、IVR、CT、MRI、核医学、放射線治療)のローテーションを経験しました。その後、大学病院から車で15分くらいのところに2009年に開院した、乳腺診療を専門とする聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニックに配置換えになりました。妊娠・出産をはさみ、現在までおおよそ10年間、クリニックでは乳腺画像診断業務に携わらせていただいております。当クリニックは大学病院との連携を軸に、検診から診断、治療、術後ケアまで、乳腺に関わる全ての患者様を診ています。そのため画像検査もマンモグラフィ、超音波、CT、MRI、骨密度まで、マルチモダリティで対応しています。また検診の啓発活動もクリニックでは積極的に行なっています。
乳腺画像診断のやりがい
放射線技師はある程度、年数が経つと専門とするモダリティを絞っていく人が多いです。しかし私はモダリティを絞るのではなく、特定の疾患(乳癌)に対する放射線技師としてのスペシャリストの道を選択しました。その理由は先に述べたように「マルチモダリティ」で患者様に関われること、またマンモグラフィと超音波は放射線技師としては珍しい読影業務があるためです。読影をすることにより、疾患に対する専門的な知識を身につけることができ(そのために勉強する)、その結果、最適な検査画像を突き詰めることができるようになりました。またマンモグラフィガイド下組織生検や超音波による術前マーキングは、MRIやCTの画像も見ながら、まさにマルチモダリティで検査を行なっていく、このような業務をできるのは乳腺画像診断を専門的に行なっているからこそだと思っています。
乳腺外科医との関わり
大学病院では組織の規模が大きく、直接的に乳腺外科の先生と関わることはほとんどありませんでした。そのため、大学病院勤務の段階ではそれぞれのモダリティに何となく楽しさとやりがいを感じていましたが、目標みたいな明確なことは定まっていませんでした。そんな私が乳腺画像診断にどっぷり携わるようになったのは「配置換え」で現クリニックに勤務したことがきっかけで、正直、自分で行動を起こしたわけではありません。しかし結果的に乳腺画像診断を専門とする放射線技師を目指すことになったのは、乳腺外科の先生方が優しく、時には厳しく、そして何より診断するチームの一員として迎えてくださったからです。普段でも乳腺外科の先生方とマンモグラフィや超音波の読影に関して一緒にディスカッションをしたり、新しい画像診断装置やMRIにおける撮像法の良し悪しを検証したりしています。それらを通じて感じるのは、全ては患者様により良い医療をチームで提供するというスタンスの先生が乳腺外科には多いということです。乳腺外科の先生は診断をとても重要視されています。そのためには読影をする放射線科医はもちろんのこと、検査をする放射線技師も交えて最良の診断をする、そして診断を最適な治療へ繋げていく、そのような先生が多くいらっしゃると感じます。
是非、乳腺診療を専門にされた時には放射線技師にも積極的に関わっていただければと思います。そのことが放射線技師のやりがいにつながり、ひいては乳腺画像診断の質の向上に繋がるということを知っていただければと思います。