放射線技師もチームの一員――最適な治療は最良の診断から
聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニック
診療放射線技師 後藤由香 先生
自己紹介
私は23年目になる診療放射線技師です。10年間の大学病院勤務では、全てのモダリティ検査業務、また放射線治療も経験しました。現在では大学病院から車で15分くらいのところにある大学病院附属の乳腺診療を専門とする聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニックで働いています。当クリニックは大学病院との連携を軸に、検診から診断、治療、術後ケアまで、乳腺に関わる全ての患者様を診ています。そのため画像検査もマンモグラフィ、超音波、CT、MRI、骨密度まで、乳腺画像診断業務を専門に携わらせていただいております。
乳腺画像診断のやりがい
放射線技師はある程度、年数が経つと専門とするモダリティを絞っていく人が多いです。しかし私はモダリティを絞るのではなく、乳腺画像診断の放射線技師としてのスペシャリストの道を選択しました。その理由は「マルチモダリティ」で患者様に関われること、またマンモグラフィと超音波は放射線技師としては珍しい読影業務があるためです。読影をすることにより、疾患に対する専門的な知識を身につけることができ、最適な検査画像を突き詰めることができるようになりました。またマンモグラフィガイド下組織生検や超音波による術前マーキングは。MRIやCTの画像も見ながら、まさにマルチモダリティで検査を行なっていく、このような業務をできるのは乳腺画像診断を専門的に行なっているからこそだと思っています。
乳腺外科医との関わり
以前、勤務をしていた大学病院では組織の規模が大きく、直接、乳腺外科の先生と関わることはほとんどありませんでした。私が乳腺画像診断にどっぷり携わるようになったのは「配置換え」で現クリニックに勤務したことがきっかけで、正直、自分で行動を起こしたわけではありません。しかし結果的に乳腺画像診断を専門とする放射線技師を目指すことになったのは、乳腺外科の先生方が優しく、時には厳しく、そして何より診断するチームの一員として迎えてくださったからです。普段でも乳腺外科の先生方とマンモグラフィや超音波の読影に関して一緒にディスカッションをしたり、新しい画像診断装置やMRIにおける撮像法の良し悪しを検証したりしています。それらを通じて感じるのは、全ては患者様により良い医療をチームで提供するというスタンスの先生が乳腺外科には多いということです。乳腺外科の先生は診断をとても重要視されています。そのためには読影をする放射線科医はもちろんのこと、検査をする放射線技師も交えて最良の診断をする、そして診断を最適な治療へ繋げていく、そのような先生が多くいらっしゃると感じます。
是非、乳腺診療を専門にされた時には放射線技師にも積極的に関わっていただければと思います。そのことが放射線技師のやりがいにつながり、ひいては乳腺画像診断の質の向上に繋がるということを知っていただければと思います。


