早期に発見できた乳がんでも、手術による切除が標準治療ですが〝切らない乳がん治療〟として経皮的ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法(radiofrequency ablation therapy:RFA)があります。RFAは、2004年に肝がん治療に初めて保険適用されて以降、多くの医療機関で使用されてきましたが、2022年に肺がん、腎がん、悪性骨軟部腫瘍、類骨骨腫(良性)に対して適応拡大されました。そして2023年7月7日、早期乳がんに対して、ラジオ波焼灼システム(RFA機器)「Cool-tip RFA システムEシリーズ」の適応拡大が薬事承認1されました。承認条件として適応「腫瘍径1.5㎝以下、腋窩リンパ節転移および遠隔転移を認めない限局性早期乳がん」など一部の早期乳がんの治療を目的としています。日本乳癌学会では皆さんが安心してRFAを受けられるように、RFAの十分な知識や経験がある医師と治療に係る体制が整った医療機関を選定し、保険収載2後にはホームページにて公開する予定です。
現時点では、RFAの機器は承認されたものの、保険適用はまだの状況です。今、RFAを受けたい場合、患者申出療養3という形で可能な場合があります。現在、8施設(国立がん研究センター中央病院、国立病院機構東京医療センター、東京都立病院機構駒込病院、北海道がんセンター、群馬県立がんセンター、国立がん研究センター東病院、岐阜大学付属病院、岡山大学病院)で患者申出療養を行っていますので、最寄りの施設にお問い合わせ下さい。
1薬事承認とは医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性が確認され、その製造・販売を厚生労働大臣が承認することです。
2保険収載とは健康保険の対象となること、健康保険から費用が負担される薬や治療法になることです。
3先進医療や臨床試験が終了してしまった後も同じ治療が受けられるように患者申出療養という制度があります。早期乳がんに対するRFAも患者申出療養で、『PO-RAFAELO試験』として保険収載までは続いています。その試験の要件に合致しない場合、RFAを受けることはできません。
日本乳癌学会