一般社団法人 日本乳癌学会

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学会概要

沿革と概要

最終更新日:2021年2月18日

乳癌学会の前身となる乳癌研究会は1964年に最初の学術集会が開催され、歴代会長は久留勝、藤森正雄、梶谷環、久野敬二郎、泉雄勝、阿部令彦の各先生でした。乳癌研究会には施設会員が登録され、施設単位での活動が原則でした。学術集会は年に2回開催され、毎回特定の主題を決めてアンケートを取り、その主題に関して一日中発表および討議をしてきました。主題およびアンケートはその集会の当番世話人が選定しましたが、時代におけるトピックに関する全国的な統計であり、乳癌に関する我が国の動向を知る上でも興味深いデータとなっています。乳癌取り扱い規約も乳癌研究会時代の1967年に初版が刊行されていますし、乳癌登録も紙ベースで毎年行っていました。しかし、会が肥大化するにつれ種々の問題点が持ち上がり、乳癌学会が発足することになりました。乳癌学会発足当初の最大の目的は、登録を個人単位として会員同士が自由に発表し、かつ十分に討論することにより基礎及び臨床の研究レベルを上げること、および専門医制度を作ることでした。先人の努力によりその目的は達成され、さらに発展しつつあります。会員数も当初の3715名から除々に増加し、現在では9214名になっています。学術集会での応募演題数も第1回の約400題から第19回の約2000題へと大きく飛躍し、参加者数も最近では5000名を超えるまでになってきています。学会の委員会数も当初の8から現在では17に増加しています。

乳癌学会発足後の主な出来事をみますと、学会発足後すぐに乳癌取り扱い規約第11版が刊行されました。1994年には機関誌であるBreast Cancer誌が発刊されました。機関誌は世界に向けての情報発信が将来重要になるであろうとのことで英文誌とすることが決定されてます。同じ年に今日でも継続されている班研究の制度が立ち上げられ、翌年には我が国における乳癌研究を推進するために乳癌学会奨励賞が制定されて授与されました。1996年には会員間での情報共有を目的にNews Letterが発行されました。1997年には専門医制度が発足し、現在では1000人弱の専門医が誕生しています。乳癌学会のホームページは1998年から始まっています。コンピュータが普及し、IT化が進んだ現在、その簡便性、迅速性からホームページでの情報発信はますます重要になっています。

制度的には2003年に理事長制が導入されて以降は、初代理事長坂元吾偉、二代目園尾博司先生のもとで、ガイドライン導入、中間法人化、さらに2010年からは一般法人化され、日本医学会加入などさらに社会性を高めています。2004年には準会員制の導入、地方会発足、乳腺専門医の標榜認可など重要な出来事がありました。最近では2010年にBreast Cancer誌がImpact Factor1.888を取得し、2011年からはNCD全国登録、乳癌診療ガイドラインのweb化が開始されています。
このように乳癌学会は順調に発展してきているように見えますが、時代の変遷はめまぐるしく、社会的要求も変化してきています。乳癌学会の目的は定款第3条に書いてあるように、「乳がんに関する基礎的ならびに臨床的研究を推進し、社会に貢献するとともに、社員及び会員である医師等の乳癌の研究、教育及び診療の向上を図ること」です。私が理事長に就任したときに定めたミッションは、「乳癌の制圧」にしたかったのですが、現実的にはまだ困難なので、当面は「日本国民が乳癌で苦悩することがなくなるような社会を作ること」と考えて今後の施策を考えているところです。
以上が簡単な歴史ですが、このような経緯を踏まえたうえで乳癌学会に対する皆様のご支援を引き続きよろしくお願い申し上げます。

(就任時のあいさつより抜粋)
池田 正 日本乳癌学会第三代理事長(2011.8−2014.7)

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