一般社団法人 日本乳癌学会

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学会概要

理事長挨拶

最終更新日:2024年8月22日

一般社団法人日本乳癌学会 理事長 戸井 雅和

 このたび、一般社団法人日本乳癌学会理事長を拝命いたしました東北大学大学院 乳腺・内分泌外科学分野の石田孝宣でございます。大変光栄に存じますとともに、身の引き締まる思いでいっぱいです。これまで、歴代の理事長や役員の方々をはじめ、会員の皆様が築き上げてこられました本学会が、さらなる発展に向かいますよう全力を尽くす所存でございます。
 私は、1987年に東北大学医学部を卒業し、岩手県立中央病院で初期研修を行いました後、1999年に東北大学外科学第二教室に入局いたしました。学生時代から外科医を目指しておりましたが、入局後、乳腺の魅力に引き込まれ、乳腺外科医となることを決意いたしました。ちょうど日本で乳房温存療法が開始された時期であり、幅広い領域の臨床や研究に奥深さを感じておりました。検診から診断、治療まで一貫して患者様やご家族と接する機会が多い乳腺診療は、さらに魅力が増していると感じております。
 乳癌は生涯において日本人女性の9人に1人の割合で発症し、現在も罹患数は増加の一途を辿っております。欧米では、乳癌死亡率の減少が報告されておりますが、残念ながら日本では減少には至っておらず、喫緊の重要課題かと存じます。新規治療法の開発を推進することはもちろんですが、合わせまして検診をはじめとする予防医療にもさらに力を入れて行く必要があると考えます。
 乳癌を中心といたします乳腺医療は、日々目覚ましい進歩を遂げております。外科領域では、ラジオ波焼灼、内視鏡手術、ロボット手術などの新規外科技術の導入が進み、薬物療法では抗体薬物複合薬をはじめとする新規薬剤が次々と開発されております。また、放射線治療では、寡分割照射や新規照射技術の臨床導入が進み、放射線診断では、CADをはじめとするAI技術を取り入れた新規診断法の開発・臨床応用に将来への期待が膨らんでおります。さらに、遺伝医療の発展は目覚ましく、乳癌診療が大きく変わろうとしております。こうした進歩を地域格差なく皆様にお届けするためには、あらゆる職種の総合力を結集する必要があり、また、関連各学会や団体とのコラボレーションが不可欠であります。これは、検診をはじめとする予防医療も同様で、行政や多方面の連携が重要となります。幸い幅広い領域で交流の機会に恵まれ、多くの乳癌関連学会や団体で役員を務めさせていただいておりますので、こうした繋がりをさらに強化して参りたいと考えております。例えば、BRCA1, 2の病的バリアントがある方への乳房、卵巣・卵管の予防切除や人工物・自家組織を用いた乳房再建などの実施率はまだ十分とは言えず、地域による差が大きい状況にあります。これらに対しまして、日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)や日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会と連携して更なる推進を図って参ります。
 日本乳癌学会におきましては、働き方改革が始まり、会員のみなさまの労働環境の整備がますます重要となっております。すべての医療スタッフが心身ともに健康で余裕のある労働環境となりますことが、質の高い医療を提供することにつながると考えておりますので、学会として様々なサポートができますよう整備させて頂きます。また、新しい会員の獲得は喫緊の重要課題です。幅広い領域の方々に乳腺医療のやりがいや楽しさを知って頂けるよう学生や研修医の学術総会・地方会への招待やWeb等での広報活動に力を入れて参ります。また、発想力豊かな若い世代が積極的に乳腺医療に関わることが重要で、将来につながると考えます。学会活動でも内部から様々な意見が出やすい環境を整え、意欲のある会員が主体的な活動ができますよう支援して参ります。
 日本乳癌学会におきましては、日本やアジアから世界に向けてエビデンスを発信していくことが求められております。国内はもちろんのこと、アジアの国々と連携し、診療を変える科学的根拠の創設を推進して参ります。また、次世代の乳腺医療を支える人材の育成も重要な役割ですので、学会を挙げて支援して参りたいと考えております。
 皆様におかれましては、日本乳癌学会が更なる発展を遂げますよう、ご指導、ご鞭撻のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

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