設立の背景
外科領域において多くの術式がロボット支援手術の保険適用になっている。乳腺領域においてはイタリアで2015年にNSM(乳輪温存乳房切除術)のロボット支援手術が初めて報告され、海外では徐々に普及し始めている。
主旨
我が国においてもロボット支援手術を早期に普及させる必要があり、日本乳癌学会として当WGを立ち上げ、その取り組みを開始した。ロボット支援下手術の保険収載を早期に実現し、日本において広くロボット手術を普及させ、乳癌術後の整容性の改善を含めた治療成績の向上を目指す。
メンバー構成
共同座長の木下、島津が中心となってメンバーを決定した。メンバーの選定に当たっては以下に配慮した。
- 地域で偏りがない
- 施設内ですでに他臓器でロボット支援下手術が導入されている
- 乳腺において内視鏡補助下手術の実績がある(これは必須でない)
木下理事、島津理事をWGの共同座長とし、乳腺内視鏡手術に精通している福間医師をはじめ合計18名のWGの委員を決定した。ダビンチを発売しているIntuitive社と連携をとりながら、座長を中心としたWEB会議、全体会議を行った。
活動の経過と実績
2023年度において、ロボット支援手術の適応となる手術を乳輪温存乳房切除術(K-476-8,9)に決定した。その術式について以下の書類を作成した。
- ロボット支援下乳輪温存乳房切除術における学会認定暫定術者の規定
- 自施設にて新たに乳腺領域におけるロボット手術を始める条件に関する指針(案)における1)術者(コンソール医師)条件、2)施設条件を作成した。
- ロボット支援手術プロクター(手術指導医)申請資格(案)を作成した。
- ロボット支援下乳輪温存乳房切除術 適正使用指針
薬事承認、保険収載までの経過
Intuitive社がまず今2023年春に薬事申請行った。2023年内に承認を得る予定月であったが2024年8月以降にずれ込んでいる。薬事承認後の保険収載に向けての戦略は3つのオプションを検討。
- 従来の他臓器におけるようにNSMの内視鏡手術の保険収載後に、ロボット支援手術の保険収載を目指す(非常に時間がかかる欠点がある)
- ロボットの有用性を前面に出して内視鏡手術を経ずに初めからロボット支援手術で申請
1)海外のエビデンスをもとに企業からのC2申請(この場合には加点はつかず、従来のNSMと同じ点数になるが、後述の方法で点数を上げる予定)
2)薬事承認後に、医師主導臨床試験を行い、ロボット支援手術の有用性を証明して、保険点数の加点を得る。
活動の成果
薬事承認において内定が下りている。
現状の課題
保険収載後にいかに普及させるかが重要な課題、C2申請で保険収載された場合には従来の点数から加点を取るための医師主導臨床試験を計画し、早期に実行に移す。
将来展望
一番早い予定で来年度前期の保険収載、早期に普及させて、エビデンスの創出を行い、プレミア(保険点数の上乗せ)を獲得する。よって保険収載に向けてより早期に可能であるC2申請を行う予定ですすめる。スピード感をもって術式を広め、日本発のエビデンスを創出し、プレミア加算をとることを目標とする。
AI-ワーキンググループ
ビッグデータサイエンス ワーキンググループ
リスク評価ワーキンググループ
リキッドバイオプシーワーキンググループ
乳腺ロボット手術ワーキンググループ
乳癌ラジオ波焼灼療法検討ワーキング
乳房再建に関するワーキンググループ(2022年-2024年)
大学教育に関するワーキンググループ