設立の背景
乳癌学会会員数の減少傾向の背景に大学授業における乳腺疾患教育のしめる割合の少なさが原因ではないかという意見が将来検討委員会であり、まず実態を調査することとなり「大学教育に関するWG」が設立された。
趣旨
大学教育における乳腺教育の実態を調査する。その結果を新入会増加に活かせるように方策を考える。
メンバー構成と役割分担
座長、委員は主に大学に籍をおいて授業、実習を行っている評議員を地域差がないように選んだ。共同座長を高橋將人、島津研三としその他18名に委員を以下のように選んだ。
島津研三 | 大阪大学医学部 |
---|---|
高橋將人 | 北海道大学病院 |
髙田正泰 | 京都大学医学研究科 |
齊藤光江 | 順天堂大学 乳腺腫瘍学講座 |
多田敬一郎 | 日本大学医学部附属板橋病院 乳腺内分泌外科 |
山本豊 | 熊本大学病院 乳腺・内分泌外科 |
山口倫 | 長崎大学病院 病理診断科・病理部 |
渡部一宏 | 昭和薬科大学 |
佐治重衡 | 福島県立医科大学 腫瘍内科学講座 |
原文堅 | 公益財団法人がん研究会有明病院 |
片岡正子 | 京都大学大学院医学研究科 放射線医学講座 画像診断学・核医学 |
明石定子 | 東京女子医科大学 |
増田慎三 | 名古屋大学大学院医学系研究科 |
石田孝宣 | 東北大学大学院医学系研究科 外科病態学講座 |
森弘樹 | 東京医科歯科大学 |
徳永えり子 | 国立病院機構 九州がんセンター |
津田均 | 防衛医科大学校医学教育部 |
伊藤研一 | 信州大学 |
平成人 | 川崎医科大学 |
阿部かおり | 大阪大学医学部 |
アプローチの仕方
まず、実態の調査をするために全国の大学医学部、医科大学82校に授業、実習、その他の取り組みについて第1回アンケートを行った。その結果について持論し、受けて側(学生)は主にどのような理由や動機で乳腺診療を志したのかを第2回のアンケートとして主に10年目までの乳腺診療に携わる医療従事者に行った。
結果
① 第1回アンケート 82校全校から回答あり
- 授業コマ数 中央値 4.1 (1コマが10校、2コマが22校)
- 1コマあたりの授業時間 中央値75分
授業時間の合計は 平均4.8時間、中央値4.0時間 - その他の課外活動は約半数の施設で行われていた
② 第2回アンケート 242名から回答あり
- 乳腺診療に携わろうと決めた時期
a)医師2年目(35%)
b)医師10年目以降(14%)
c)大学生の時(14%) - 志望した理由(診療内容)
a)診断から治療までトータルに診れる
b)手術に興味がある
c)薬物療法に興味がある
d)腫瘍学に興味がある - 志望した理由(診療内容以外)
a)社会からのニーズが高い
b)やり甲斐があるそう
c)私生活との両立が可能、QOLが高そう
成果
全国の大学の乳腺教育の実態が明らかになった。
乳腺診療を志した理由や動機の傾向が明らかになった。
問題点
授業に関して乳癌は女性が最も罹患する疾患で年間10万人罹患する、また予防に関しては20歳以上の女性全てが対象になるにもかかわらず授業時間が平均4.5時間、最低では1時間程度の大学もあることは非常に問題である。学生が初めて乳腺疾患に関して触れるのが大学の授業であるので、改善が必要である。全体として取り組みも必要であるが、個々の大学での努力が必要である。例えば基礎系の生理学、薬理学の授業を減らすなど(生理学、薬理学も2講座あったものを1講座に減らしている大学もある)、必要性の低くなった講座の授業を減らして乳腺に関する授業を増やす要望も必要である。
Limitation
第2回のアンケートは結果として30代後半の医師の回答が多かったため世代間のバイアスがある可能性がある。
将来展望
乳腺診療に関する授業が少なく、それが学会員の減少につながっている可能性があることは憂慮すべきことである。この点について世の中に周知するために学会としてのステートメントを発することも一案である(消化器外科学会が例にある)。授業が少なくても課外活動でハンズオンセミナーを行うなど独自の方策を行う施設が成果を上げていることなどから、個別の努力も非常に重要である。
AI-ワーキンググループ
ビッグデータサイエンス ワーキンググループ
リスク評価ワーキンググループ
リキッドバイオプシーワーキンググループ
乳腺ロボット手術ワーキンググループ
乳癌ラジオ波焼灼療法検討ワーキング
乳房再建に関するワーキンググループ(2022年-2024年)
大学教育に関するワーキンググループ